熊殺しのタツ

きわどい勝負だった。 そもそも道産のエゾヒグマとしては破格の大物だ。しかも手負いの母熊。熊殺しとして勇名を馳せるタツにとっても、こんな手ごわい獲物ははじめてだった。 鮭獲りと同じモーションでおそいかかる、クマ独特のアッパークローを間髪でかわし、相手のふところに飛びこむ。そして、逆手に握ったアイヌ山刀で、のどぶえを真一文字に掻き切る。ほとんど捨て身の攻撃だ。アカエイの毒矢も追い込み罠もきかぬ相手に、もはや小細工は通用しない。 どうっ、としなだれかかる巨躯をすんでによけて跳びすさる。なにしろ体重三百キロ、押しつぶされたら、あばらの一本や二本は無事ではすまない。 荒れた息がいつまでもおさまらなかった…。

1998.9.13 いや、初めは全然そんなつもりはなかったんですが、アルビノさん(現・日野エイジさん)が口にした題名を画面に打ち込んだ時点で彼女の運命は決まりました。 Photoshopのレイヤー機能をデモンストレーションするため、タブレット一発描きの実演制作。 (C) Goma